はじめに
屋外イベントや仮設ステージでは、突然の降雨や粉塵がコネクタ部に重大なトラブルをもたらす可能性があります。
その対策として注目されているのが、**Neutrik製の防水対応powerCONコネクタ(例:NAC3F-TRUE1-SJP(注1)、NAC3M-TRUE1-SJP(注1)、NAC3F/MPX-TRUE1など)**です。
本記事では、IP規格の基礎知識とともに、現場で防水性能を最大限に活かすための施工ポイントを解説します。
1) IP規格とは?防水・防塵性能の読み方
IP(Ingress Protection)規格とは、製品が粉塵や水に対してどの程度保護されているかを示す国際規格です。
代表的な等級は以下の通りです:
- IP65:粉塵の侵入を完全に防ぎ、あらゆる方向からの噴流水にも耐える(流量12.5 L/min ±5%、水圧約30 kPa、最低3分間の噴流試験)
- IP67:粉塵の侵入を完全に防ぎ、一時的な水没(深さ1m・30分以内)にも耐える(浸漬試験)
※いずれもJIS C 0920(IEC 60529準拠)の試験条件に基づく評価であり、実際の屋外現場では、暴風雨や長時間の浸水など、より過酷な状況にさらされる可能性があるため、施工時の工夫や保護措置も重要です。
2) Neutrik製 防水powerCONコネクタの特長とは?
現在販売されているNeutrikの防水対応電源コネクタには、以下のような型番があります:
- NAC3F-TRUE1-SJP(ケーブル側・防水対応プラグ)
- NAC3M-TRUE1-SJP(ケーブル側・防水対応プラグ)
- NAC3F/MPX-TRUE1(シャーシ側・防水対応レセプタクル)
これらの製品は、接続状態でIP65 / IP67等級に対応しており、耐久性・信頼性ともに屋外現場で安心して使用できる仕様です。
主な特長:
- 通電状態での接続・切断が可能(IEC 60320-1 準拠)
- 難燃性(UL 94 V-0)および高耐UV素材を使用
- 高温・低温・湿度変化にも対応した屋外グレード設計
- 他のTOP対応製品(XLR, speakON, etherCON等)と統一可能
3) 防水性能を活かすための組み立てと施工管理
Neutrikの防水コネクタは製品そのものが高性能ですが、現場で防水性能を発揮させるには正しい組み立てと施工が不可欠です。
✅ 組立時の重要ポイント
- Neutrik推奨の専用工具を使用
- ケーブルブッシング部を適正トルクで締付け
- ケーブル挿入口の密閉性を確保
これにより、防水性能(IP65/67)が最大限に発揮されます。
逆に、工具未使用やトルク不足/過剰な締付は、防水性の損失や構造破損を招く恐れがあります。
4) IPを超える環境への対応:現場でできる養生と工夫
IP67対応であっても、暴風雨や常時水没に近い状況では追加の対策が必要です。以下のような現場ノウハウを併用すると、機材トラブルを未然に防ぐことができます。
推奨される設営工夫:
- 接続部を地面から浮かせる(トレイやケーブルブリッジ使用)
- 通気性のある防滴カバーやタープで雨水の直撃を防ぐ
- 未使用端子には防水キャップを装着し、埃・湿気から保護
- ケーブル取り回しで**「水たまりループ」を避ける**
これらの工夫は、IP性能を補完し、より信頼性の高いシステム運用につながります。
5) まとめ:防水コネクタ選びの“本質”とは
屋外で使用される電源コネクタは、「防水対応」と書かれていれば安心…というものではありません。
現場で本当に求められるのは、信頼できる防水性能に加え、長期的に安定運用できる設計と保守性を兼ね備えた製品です。
Neutrikの防水対応powerCONコネクタ(例:NAC3F/M-TRUE1-SJP)は、次のような点で他製品と一線を画します:
- IP65/67の実性能を発揮する構造と、明確な組立ガイドライン
- 通電中の接続・切断に対応し、現場作業の効率と安全性を両立
- 厳しい屋外環境(高温・低温・紫外線・風雨)での耐久性実績
これらの特長により、「万が一」を許されない本番環境や、長期設置を前提とした設備にも安心して導入できる信頼性があります。
製品選びは、コストだけでなく「止まらない現場を支える確実な品質」という視点が欠かせません。
NeutrikのpowerCON TOPシリーズは、施工品質を守る技術者の味方として、多くの現場で選ばれ続けています。
▶ 対応製品一覧はこちら
https://www.neutrik.co.jp/jp/products/audio/powercon
▶ 適正トルクで締め付ける工具類はこちら
https://neutrik-jp.shop/products/%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%88
▶ トルク管理の参考動画はこちら
https://youtu.be/rLFbL7SahYQ?t=209
(注1) 電安法認可取得済み国内販売型番です。